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【 経営者のためのすぐに役立つマンスリー 税の素 】 [ 第11回 ]
● 会社法の変更 有限会社のままか、株式会社化か ●
税理士 三輪 厚二(大阪、大阪市)
さきごろ、新しい会社法が成立し、来年から施行されることとなりました。この法律が施行されると、現存する有限会社は、有限会社のまま存続するか、
株式会社に変更するかの選択を迫られることになります。そこで今回は、その選択に際してのポイントをまとめてみることにしました。
[ポイント]
1 有限会社と株式会社では、税務上の違いはない。
2 会社を運営していくための手続や費用を考えると有限会社の方がメリットがある。
3 会社を発展的に考えるのであれば、株式会社の方がメリットがある。
■会社法の概要
まず、今回成立した会社法の概要を見ておきましょう。
1 会社制度を株式会社に一本化
有限会社と株式会社が統合され、株式会社に一本化されます。ただし、現存の有限会社は経過措置により、新会社法施行後も存続することができます。
2 最低資本金制度の撤廃
最低資本金制度が撤廃され、資本金1円から会社が作れるようになります。
3 合併対価の柔軟化
合併をする場合に、合併先企業の株主に対し、合併の対価として自社株以外に現金や有価証券等を交付することが認められるようになります。(ただ
し、経過措置により、施行後1年間は認められません)
4 会計参与の設置
会社の計算書類を作成する会計参与を設置することができるようになります。会計参与となれるのは公認会計士(監査法人)、税理士(税理士法人)
です。
■有限会社のままでいるメリット
さきにふれたように、新会社法施行後は有限会社は株式会社に統合されることとなっていますので、施行後には、有限会社は、有限会社のままでいる
のか株式会社に変更するのかを決めなければなりません。
有限会社のままにしておく場合には、次のようなメリットがあります。
1 取締役の数
株式会社の場合は、取締役が3人以上必要になる場合がありますが、有限会社は1人でよいことになっています。
2 取締役会・監査役会の設置
株式会社は、取締役会とか監査役会を設けなければならない場合がありますが、有限会社では、必ずしも置く必要はありません。
3 取締役等の任期
株式会社の場合、取締役の任期は選任後2年以内、監査役は4年以内ですが、有限会社には任期がないので、役員等に変更がない限り新たに登記をす
る必要がありません。
4 みなし解散の適用
新会社法では、最後に登記があった日から12年を経過した会社は、一定の手続をしなければ解散したものとみなされますが、有限会社にはこの規定の
適用がありませんので、放っておいても問題は生じません。
5 公告等の義務
株式会社には計算書類等の公告、据置き、閲覧等が義務付けられていますが、有限会社には公告等の義務がありません。
6 会計監査人の設置が不要
新会社法では、株式会社が大会社である場合、会計監査人の設置が義務付けられますが、有限会社の場合は、大会社であっても会計監査人の設置をす
る必要がありません。
■株式会社にするメリット
一方、株式会社には、次のようなメリットがあります。
1 一般的に有限会社より株式会社の方が対外的に信用があると見られます。
2 株式を発行することによって、外部から資金を調達することが可能です。
3 株式会社になると、株式交換や株式移転が可能になります。
4 中小企業投資育成会社の投資対象会社になると、株式などの引受けに応じてもらえるようになり、資本の充実が図れます。
5 株式会社には個人投資家から資金調達を促進するための優遇税制、いわゆるエンジェル税制の適用があります。
6 相続で取得した自社株を会社へ売却した場合、税負担が軽くなる特例がありますが、この特例は株式会社の株式だけで有限会社の出資には適用が
ありません。
■有限会社と株式会社の税務上の取扱い
有限会社と株式会社とでは、税務上の取扱いに違いはありませんので、株式会社に変更しても何ら変わることはありません。
■株式会社に変更した場合の税務手続
法人税では、法人が組織変更をして他の種類の法人になった場合でも、その解散、設立の登記はなかったものとして取り扱われ、組織変更した法人の
事業年度を継続することとなっています。したがって、有限会社から株式会社に変更した場合も、そのままその事業年度を引き継ぎ、通常どおりの申告
をすることになります。
■会社法施行前にする株式会社への組織変更
会社法の施行前に有限会社から株式会社へ組織変更した場合には、次のような取扱いがあります。株式会社に変更を予定されているということであれ
ば、その時期も検討してみてください。
[施行前] 現行の有限会社法では、有限会社から株式会社へ組織変更する際に、資産の洗い換えをして、資産を時価相当額まで引き上げることができ
るとされており(つまり、評価益の計上が認められる)、法人税では、この評価益について益金の額に算入できるとしています。したがって、その会社
に繰越欠損金があるような場合であれば、これを活用(繰越欠損金と評価益との損益通算)できるとともに、その資産の簿価の引き上げが可能になりま
すので、将来、その資産を売却する時に課税負担が軽減されるといったメリットが享受できることになります。
[施行後] 一方、新会社法における有限会社から株式会社への変更は、組織変更ではなく商号の変更とされていますので、たとえ会社組織を変更した
としても、資産の評価益を計上することは認められず、税務上も繰越欠損金を活用することができません。 |
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